桃園第二小学校の改築にあたって校庭を人工芝にしないことを求める陳情に対する態度について
区民の方から、「桃園第二小学校の改築に際し、環境と地域の要望を踏まえた校庭の仕様を求める陳情」という、現在は土舗装の校庭を改築の際に校庭を人工芝にしないことを求める陳情が出されました。区の合意形成の努力の不十分さを感じるところはあり難しい判断でしたが、「人工芝での整備をしてほしい」という声があることも踏まえ、「住民の頭越しに議会が『人工芝にしない』ことを求めるべきでない」という立場から、陳情に反対の立場を取りました。以下、委員会で行った討論をご紹介いたします。
-以下、討論全文-
付託されている「第8号陳情 桃園第二小学校の改築に際し、環境と地域の要望を踏まえた校庭の仕様を求める陳情」について、日本共産党議員団の立場から討論を行います。
学校は教育の場であるとともに、地域コミュニティの核でもあります。校庭を人工芝で整備することによって地域の行事が行えなくなるのではないかという陳情者の懸念は十分に理解できるものです。その点で、今日に至る区の姿勢に区民との合意形成において疑問点があります。
陳情者からの補足説明で人工芝の校庭では様々な地域行事が行えない可能性があることは第4回改築推進委員会において認識されたことが述べられました。区は第2回改築推進委員会ではキャンプファイヤーなどができないことを伝えていたと述べていましたが、その点について認識を深める議論はなかった印象を受けました。また区は桃園第二小学校改築推進委員会において主に議題となっていたことは、「学童クラブやキッズプラザがきちんと配置できるかどうかであった」と述べており、「指摘を受けなければそのまま」にし、改築における課題の認識を深める積極的な努力を欠いていたのではないか思わざるを得ません。
区は「小中学校施設整備計画」で決められているから、人工芝で整備することを前提として事業を進めてきたのでしょうが、地域の方からすれば具体的に自らの地域の話となってようやく「人工芝の是非」を考えるに至ることになることは容易に想像がつくことです。中野区自治基本条例第2条「基本原則」では、第4項において「区は、区民と区との十分な情報共有を基に、区民に区政への参加の機会を保障しなければならない。」としています。中野区の情報共有は十分ではなかったように感じます。また、十分な情報共有に基づく合意形成の努力も不足していたと感じます。先ほど述べた中野区自治基本条例は第14条「区民参加の手続き」において、「執行機関は、区民の参加により示された意見を踏まえ、区民の総意又は合意点を見極めるものとする。」としており、この条文の主旨を十分に生かした区の努力を求めるものです。
今回陳情が出された背景には、決めた方針の範囲内での意見しか認めないという区の姿勢があるのではないでしょうか。自らの態度をよくよく省みてもらいたいと思います。
しかしそれでも本陳情に反対するのは、この陳情の主旨が「桃園第二小学校の改築に際して校庭を人工芝にしないこと」を求めているためです。中野区立小中学校の校庭を人工芝にする方針は2017年に改定された「中野区立小中学校施設整備計画」で定められ、これまで7校で人工芝の校庭となっています。区は衝撃吸収性が高く走りやすいことや雨天後すぐに使えること、ライン引きなどの手間がなく、教育的効果が極めて高いことを導入理由にしており、教職員や児童生徒からも人工芝の校庭は高く評価されていると聞いています。また桃園第二小学校の改築においても人工芝に反対する意見とともに、人工芝での整備を望む声もあると聞いており、そうした下で、「人工芝にしないこと」を求める陳情には賛成できません。
合わせて要望いたします。校庭での人工芝の整備方針を策定した時点から、地球温暖化による酷暑はますますひどくなっています。日本共産党都議団が都民広場の人工芝や明治公園の人工芝を調査した結果、60度台と非常に高温になっていることが判明しました。人工芝を整備する際にはスプリンクラーなどの酷暑対策の設備も必須になってくるかと思います。そうした点も踏まえ、「最も良い校庭とは何か」を常に追求していっていただきたいと思います。
本陳情には反対の立場を取りますが、もろ手を挙げて「人工芝を推進してもらいたい」と思っているわけではありません。酒井区長が述べている「政策決定過程からの区民参加」を文字通り実現し、住民自治を大切にした行政運営を行うことを求め、討論を終わります。